2005年シーズン
長谷川健太 新監督のもと
清水エスパルスは、開幕から苦しい戦い、なかなか勝てない日々が続きました。
初めての1勝をしたときの喜びは言葉にできない程強烈なもので、「王者の旗」を絶唱しながら涙したものでした。
でも、その後も勝てない日々は続き、夏にはクラブ初のJ2降格が現実的なものになる順位に低迷していきました。
そんな8月、朗報が届きます。
前年アキレス腱を痛めたものの、ヴェルディ,マリノス,ジェフで実績のあったFWマルキーニョスが練習に参加しているというのです。
早速、三保の練習を視察。
グラウンドの隅、別メニューでフィジカルトレーニングをしているマルキーニョスを見つけ、否応なく期待が膨らみます。
「足は大丈夫か?」
「チームに入るのか?」
「ゴールを頼む!」
低い金網越えに、あやしいスペイン語で話しかけ、握手をして歓迎と期待を伝え帰って来ました。
マルキーニョスの決定力でチームは勝ち点を拾い始めます。
秋には残留争いできるところまで持ち直すことができました。
しかし、負のスパイラルに陥っていたチームはそれを簡単には立ち切れず、信じられないような惨劇に見舞われていきます。
こんなチームの筈は無いのに…
攻めても攻めても決まらない、得点できない。
守備に重きを置いても1点を守り切れない。
敵地に前乗りまでして、万全な調整のもとで望んだアウェイゲーム、J2あがりの格下相手に0-5の完敗を喫する。
エース、チョジェジンが、試合終盤に貰った同点PKを失敗し敗れる。
試合開始早々30秒で何も抗うこともできずに失点してしまう…など
シーズン残り4試合、
柏との残留争い直接対決
実質、負けた方が入れ替え戦行きとなる重要な一戦を迎えます。
前述、開始30秒での失点はこの試合でした。
リードを許したまま重い展開の試合が続きます。
そんな後半残り15分、千載一遇PKのチャンスを得ます。
重い重い雰囲気の中、成功していない因縁のPKです。
この逆境を振り切って決めてくれたのは、やはりマルキーニョスでした。
これがチームの転機となったでしょう。
終了間際、チェテウクの劇的な逆転ゴールを呼び込みます。
画して、残留への天王山で大きな勝利を収めたのでした。
そしてまた泣きました。
高速バスで隣に座っていた女子高生がティッシュを貸してくれたくらい、泣きました。
本当に嬉しかった。
この一戦で厄を落としたかのように、次戦もマルキーニョスのゴールで神戸に勝ち、J1残留が確定しました。
まさに救世主と呼ぶにふさわしいマルキーニョスの活躍は、名門清水エスパルスのJ2降格を阻んでくれたのでした。
優勝するより(まあ、したこと無いんですけど)遥かにドラマチックで、感動したシーズンになりました。
その後2015年に簡単に降格してしまい、なんだかなぁなんですが、2005年は本当に思い出深いシーズンです。