1983年夏。
プールから裸けた肩を見せながら、アンニュイな表情の聖子。
涼しげな青いジャケットが印象的なLPは、そのイメージ通り、
爽やかな青い真夏の風景が満載の作品です。
ユートピア 松田聖子 7thアルバムです。
作詩はSEIKOが1曲、他9曲はいつもの松本隆。
作曲は、やはりニューミュージック系中心で、杉真理,来生たかお,大村雅明,財津和夫,細野晴臣,甲斐祥弘,呉田軽穂(松任谷由実),上田知華の豪華な面々です。
ピーチ・シャーベット
マイアミ午前5時
セイシェルの夕陽
小さなラブソング
天国のキッス
ハートをRock
Bye-bye playboy
赤い靴のバレリーナ
秘密の花園
メディテーション
「マイアミ午前5時」「セイシェルの夕陽」は、後進にカバーされたり、コンサートで歌い継がれていたりで、有名な人気曲です。
聖子の透明な歌声が、異国の海への憧れを醸成します。
マイアミ,セイシェル 名前しか知らない南の海に想いを馳せたものです。
私が好きなのは3曲。
まずB面2曲目「Bye-bye playboy」
好きだった彼との再会を歌った、ミニドラマのような展開の、可愛い曲です。
高音でタイトルを繰り返すサビが印象的で心地よく耳に残ります。
B面3曲目「赤い靴のバレリーナ」
“前髪1ミリ切り過ぎた午後
あなたに会うのがちょっぴり怖い…”
歌いだしから、ナイーブな女の子の心情を見事に切り取っていてドキッとします。
“見知らぬ電車で
見知らぬ海へ
見知らぬ駅まで切符を買ったわ”
ことば遊びを絡めながら、小さな旅に出たい気持ちを表現していて、シンパシーを感じます。
そしてアルバムをしめくくる曲「メディテーション」
好きな人をひたすら優しく想う、瞑想。
心象風景でありながら広大な世界観を内包した曲です。
まるで揺りかごに揺られるように私を癒してくれます。
松田聖子の中で私の一番好きな曲です。
ユートピアは、秀作の多い粒揃いのアルバムです。