2006年秋
「アイドリング!!!」というテレビ番組がありました。
暖かな世界でした。
CS放送というある種、俗世間とは隔離された空間で、スレてない純粋な9人の少女が創造する箱庭ような番組でした。
総合演出の塩谷さんが紡ぎ出した世界観です。
私はここにどっぷりはまっていました。
司会のバカリズム升野も、当時まだ無名でしたが、その才能の片鱗を見せていて、少女たちの兄貴分よろしく、お互いの信頼を核に良い関係性で番組を彩っていました。
CSなので視聴者数が限られていて、投稿コーナーなどの採用にも手が届き易く、
遠くなく近過ぎずと、ファンとの絶妙な距離感の醸成も巧みでした。
番組コンセプトはアイドルを目指す少女たちの「準備期間」を「エンジンのアイドリング」になぞらえて、少女たちに時に厳しく時に優しくアイドル教育を施していくというものでした。
ここに集められたのが、芸能活動の経験が殆ど無い少女たち。
「アイドリング!!!」と名付けられた9人です。
アイドリング!!!
1号 加藤沙耶香
2号 小泉瑠美
3号 遠藤舞
4号 江渡万里彩
5号 滝口ミラ
6号 外岡えりか
7号 谷澤恵里香
8号 フォンチー
9号 横山ルリカ
個性的な魅力的なメンバーは、性格が露骨に出てしまうコーナーなどもある中、みんな愛すべき良い子たちで、全員好きになってしまいます。
「この9人出会ったことが宝物」のキャッチフレーズは、9人の絆、関係性を見事に表していました。
アイドリング!!!の世界観の中で彼女らを見守るのは至福の時でした。
アイドル教育と言いながらバラエティ順応性を鍛えるような企画が多かったこと。
その結果として、アイドル教育がぬる過ぎて、歌や踊りなどであまり成長しなかったこと。
いつまで経ってもアイドルとしてはアイドリング状態でした。
(まあ、それが良かったんですが…)
CDデビューは果たしたものの商業的にあんまり振るわなかったあたりが決め手となってしまったのか…
総合演出の塩谷さんが追放されて、このいたいけな儚い世界は終焉を迎えました。
門澤Pやその上層部が実権を握り、2期生を募集し、なりふり構わずタレントを集め、肥大化形骸化していきました。
正直2期以降は何も知りません。
全く見てません。
私の中では既にアイドリング!!!ではなくなっているので。
こうして夢のような1年半は終わってしまいました。
とてもとても残念でした。
でも、この9人に出会えたことは今も宝物です。