1981年12月5日。
私の中での、彼女の代表曲・最高傑作が発売されました。
「ラブレター」河合奈保子です。
作詞 竜真知子
作曲 馬飼野康二
実のところ、私がこの曲の魅力に気づいたのは、ヒットしていた時より、かなり遅れてからです。
これまでずっと、片思いばかりの人生ですが、
その初めての片思いへと繋がる経験、すなはち初恋をしてからのことでした。
Aメロの歌詩、
「あなたと目が合わないように
横顔だけいつも見てるの
ひと目で気づかれてしまう
この想いかくせない私だから」
ここで勝負ありです。
どれほど、共感したことでしょう。
転校初日に一目惚れした女の子を、2年間見つめ続けたウブな思春期の少年の心に、その歌詩は響き続けたのでした。
曲の方は、キャッチーですが洗練されていると言う程ではありません。
ノリの良い楽しい歌謡曲といった風情。
河合奈保子の真骨頂です。
「ためらいライライ、ラブレター」ってサビのところの歌詩は陳腐なんですが、短調で始まって、サビからいきなり転調する対照は鮮やかで痺れます。
良質な歌謡曲の楽しみ方でしょう。
そしてそのサビで現れるのが
「指でなぞったイニシャル」
というフレーズです。
片思いのシーンをこんなにも的確に端的に描写してくれる言葉があるでしょうか。
正直、一般的に片思いの人がそう感じるのかは分かりませんが、私にはジャストミートです。
好きな娘の名前を何度も何度も書いたものです。
この曲を歌っている河合奈保子は、か弱き自分の代弁者なのかもしれません。
「好きです、言えないけど」
今もしばしば反芻する歌い出しの言葉です。
思い入れたっぷりのこの曲。
シンパシーを感じてくれる人がいらしたら僥倖です。