1982年初夏。
初めてLPレコード(アルバムのことです)を予約しました。
当時の私には大きな出費でした。
代わりに大きなポスターが貰えました。
ショートカットの横顔はそれから引っ越すまで3年、私の部屋の壁を彩ってくれました。
そして、このレコードもやがてCD、iTunesへと姿を変えながらも、今までの長いつきあいとなっています。
パイナップル 松田聖子5thアルバムです。
作詩は全曲 松本隆。
作曲は、シングル「夏の扉」から始まった、当時で言う“ニューミュージック”路線の作曲家陣で固め、財津和夫,来生たかお,原田真二,呉田軽穂(松任谷由実のこと)が参加しています。
P・R・E・S・E・N・T
パイナップル・アイランド
ひまわりの丘
LOVE SONG
渚のバルコニー
ピンクのスクーター
レモネードの夏
赤いスイートピー
水色の朝
SUNSET BEACH
作詩家 松本隆によるプロデューサのような役割が本格的に機能し始めた作品だと思っています。
(尚、初参加は前作の「風立ちぬ」)
松本隆の参加は松田聖子の世界を一変させました。
一曲ごとのクオリティ向上はもちろん、アルバムコンセプトの統一感や洗練度は、旧作とは一線を画します。
なにより松本隆が紡ぎ出す世界観の奥行き、広さ、深さは私などの筆舌に尽くし難い芸術です。
各曲にドラマがあり、様々なシーンが聴く者の心に広がってゆきます。
私は、ラストナンバー「SUNSET BEACH」の情景がとても好きです。
“波打ち際斜めの陽を浴びてタオルを手に人が帰る
夕凪満ち潮足跡だけ消し去る波”
海を見たくなります。
爽やかな夏の恋を中心に歌った10曲。
喉を痛めた後、発声を変え、より松田聖子のボーカルが深みを増した時期の佳作アルバムです。